2026年1月25日
2026年1月25日、これまで勉強を続けていた整体師の実技試験、および学科試験に合格しました。
師匠より、「あなたを整体師として認めます」とお墨付きをいただきました。
教室の変化
23歳で教壇に立ってから30年。私は数学の美しさに魅了され、その深淵を生徒たちに伝えることに心血を注いできました。数学の研究に没頭し、努力の末に志望校を勝ち取る生徒たちを支える日々は、間違いなく充実したものでした。
しかし、近年、教室の景色は少しずつ変わり始めました。 「苦労はしたくない、でも結果は欲しい」 効率と楽な道だけを求める声が、生徒や保護者から増えてきたのです。試行錯誤のプロセスにこそ価値がある数学の世界で、その本質を伝え続けることに、いつしかかつてのような情熱を持ち続けることが難しくなっている自分に気づきました。
そんな私の価値観を、根底から揺さぶる出来事が起きたのは、2年前のことでした。
絶望を救った、魔法のような「一時間」
柔道に打ち込んできた息子が、高校3年の5月、最後のインターハイ予選の直前に腰を痛めました。歩くことさえままならず、畳に立つことさえ絶望的な状況。医師からも色よい返事はもらえず、息子も、そして私たち夫婦も、積み重ねてきた時間が崩れ去るような暗闇の中にいました。
藁をもすがる思いで訪ねたのが、ある整体師の先生のもとでした。 そこで起きたことは、今でも信じられません。わずか一時間の施術。先生がその「手」で息子に触れ、整えていくと、あんなに動かなかった息子の体が、みるみるうちに自由を取り戻していったのです。
「……動ける。痛くない!」
驚きに目を見開いた息子の顔。それを見て涙を流して喜んだ妻の姿。私はその光景を忘れられません。 結果、息子は県大会で準優勝を果たし、希望する大学への進学も決まりました。
数学よりも、もっと直接的に人を幸せにできる力
その時、私の中で何かが鮮烈に弾けました。 「数学を教えることも素晴らしい。でも、目の前で絶望している人を一瞬で笑顔にし、その後の人生を大きく変えるこの仕事は、今の私にとって、何よりも人を幸せにできることではないか」
私は決意しました。教え子に「努力の価値」を説くのであれば、自分自身が一番の体現者でありたい。私はその先生に頭を下げ、弟子入りを志願しました。
それからは、昼は教壇に立ち、夜と休日は解剖学の教科書を開き、実技の研鑽を積む日々。数学の研究で培った論理的な思考は、人体の仕組みを理解する上でも大きな助けとなりました。
2026年1月25日、新しい扉が開いた
そして今日、2026年1月25日。 厳しい学科試験と実技試験を経て、私は正式に整体師として認められました。合格の通知を手にしたとき、23歳で初めて教壇に立ったあの日と同じ、あるいはそれ以上の高揚感に包まれました。
私は、2028年3月31日をもって、32年間続けてきた教職を辞します。
数学教師としての人生に悔いはありません。これからはチョークを捨て、この「手」で、怪我に苦しむアスリートや、体の不調で夢を諦めかけている人たちを救いたい。
55歳。人生の第2ステージの幕開けまで、あと2年。 最後まで数学教師としての職責を全うしながら、プロの整体師として羽ばたく準備を整えていきます。

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